HOLGAの絞り
絞りとは?
絞りとは露光量を調整するためのカメラのしくみです。
光を通す部分の大きさを変えてフィルムに与える光の量(露光量)を調整します。光を通す部分が大きければ光を通す部分が小さいときよりも、同じシャッター速度であればより多くの露光量を得ることができます。
HOLGAの絞り機能
HOLGA会の吹雪氏によると、2009年10月以降のHOLGAは絞りが正常に働くようになったらしいです(実効絞り値は不明)。
それ以降でも古いHOLGAは販売されていると思われます。切り替えスイッチを動かしてもレンズの奥に"輪っか"が現れないものは絞り無効HOLGAです。
カメラを上から見るとピント指標の左に、絞りの切り替えスイッチが付いています。太陽マークが見えるようにスライドを動かすと「晴れ」絞り、曇りマークが見えるようにすると「曇り」絞りに切り替わりますが、構造上の問題により絞りが無効になっています。つまりどちらに動かしても同じ絞りです。
レンズを正面からのぞいて、絞り切り替えスイッチを動かすと絞りの部品が動くのが見えます。しかし、スイッチをどちらにしても光を通す部分の大きさ(写真の白い円)は変わりません。この写真は裏蓋を取り外してシャッターを開いた状態です。通常は円形の部品の奥に黒い板(シャッター部品)が見えます。
絞り値F8の検証
HOLGAの絞り値は公称でF8となっていますが、これを検証してみます。レンズのF値は次の式で導かれます。
レンズを外して裏側から有効口径をノギスで計測します。直径4.35ミリでした。レンズの焦点距離は60mm。これを式に当てはめると、
HOLGAの絞り値はF13.8(約 F11+1/2 )という結果になりました。
上段が1絞り毎の表示で、下段が1/3絞り毎の表示です。F11+1/2は、上の図ではF11とF16の中間を指します。
ただし、「レンズの焦点距離:60mm」が正しいとしての計算です。
むりやり最小絞り
HOLGA本来の絞りは無効になっていますが、絞りの切り替えスイッチを途中で止めて、レンズの開口部をわざと塞ぐことにより、絞ることが可能です。
レンズ開口部の面積を半分にすれば、光の通る量も半分になり1絞り絞るのと同じなので、F16半になります。もっと塞ぐとF22くらいになりそうです。
半円形の絞りでは画面端が少しケラレますが、絞りスイッチをさらに動かして両側から光が通るようにした状態だとケラレがほぼなくなります。
この写真を撮った日は晴天で、フィルムはISO100、順光だとバッチリの条件なのですが、逆光の海を撮ると海面ギラギラで露出オーバー。こんな時にもっと絞りたいときの非常手段として使えます!
そのままの絞り
HOLGAの普通絞りで撮影。ISO100のポジ・フィルム、快晴。逆光で海面ギラギラなので露出オーバー気味の写真に。
1絞りアンダー(f16+1/2)
普通絞りを半分の大きさ(半円形)にして撮影。1段絞ると明るさは良い感じになったが、画面端がケラレている。
1+1/2絞りアンダー(f22)
レンズ開口部の両端から光が通るようにして撮影。ケラレもなくなりまるで疑似夜景のようです。